「長押(なげし)」って、なんのためにあるの?
和室の壁の上の方に、
一本横に通っている木。
それが「長押(なげし)」です。
昔の家に多く使われているため、
見たことはあっても、
名前や役割を知らない方も多いかもしれません。
長押は、もともと柱と柱をつなぎ、
建物を固めるための部材として使われていました。
今でいう補強材のような役割です。
しかし時代が進むにつれ、
構造としての役割だけでなく、
和室を美しく見せる“意匠”としての意味も持つようになります。
武家屋敷などでは、
長押に槍や刀を掛けていたとも言われています。
非常時にはすぐ手に取れるように。
そんな武士の暮らしの名残が、
今の和室にも残っているのかもしれません。
また長押は、
部屋全体を水平に引き締める役割もあります。
一本入るだけで空間に落ち着きが生まれ、
和室らしい静かな雰囲気をつくってくれます。
大工にとっても長押は、
ただ真っ直ぐ付ければよいものではありません。
柱との納まりや高さ、木目の流れによって、
空間の見え方は大きく変わります。
今では、長押のない和室も増えました。
ですが、昔の家を見上げると、
そこには暮らしや文化、
そして大工の工夫が今も残っています。
和室の壁にある一本の横木。
何気ない存在に見えて、
実は長い年月を受け継いできた
日本の住まいの知恵なのです。
