職人クリップ

【大工四方山話】その13

2026.06.11
【大工四方山話】その13

 

「長押(なげし)」って、なんのためにあるの?

 

和室の壁の上の方に、
一本横に通っている木。
それが「長押(なげし)」です。

昔の家に多く使われているため、
見たことはあっても、
名前や役割を知らない方も多いかもしれません。

長押は、もともと柱と柱をつなぎ、
建物を固めるための部材として使われていました。
今でいう補強材のような役割です。

しかし時代が進むにつれ、
構造としての役割だけでなく、
和室を美しく見せる“意匠”としての意味も持つようになります。

武家屋敷などでは、
長押に槍や刀を掛けていたとも言われています。
非常時にはすぐ手に取れるように。
そんな武士の暮らしの名残が、
今の和室にも残っているのかもしれません。

また長押は、
部屋全体を水平に引き締める役割もあります。
一本入るだけで空間に落ち着きが生まれ、
和室らしい静かな雰囲気をつくってくれます。

大工にとっても長押は、
ただ真っ直ぐ付ければよいものではありません。
柱との納まりや高さ、木目の流れによって、
空間の見え方は大きく変わります。

今では、長押のない和室も増えました。
ですが、昔の家を見上げると、
そこには暮らしや文化、
そして大工の工夫が今も残っています。

和室の壁にある一本の横木。
何気ない存在に見えて、
実は長い年月を受け継いできた
日本の住まいの知恵なのです。

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