
【墨付けと木組みの知恵】
昔の大工仕事は、今のようにプレカット機械があるわけではありませんでした。
建物の骨組みをつくるために木材を一本一本測り、墨で印をつける「墨付け」が重要な作業でした。
墨付けはただの線引きではなく、木のクセ・反り・節の位置を見極めて配置を決める職人技。
同じ木でも使う位置や向きで強度や見栄えが大きく変わります。
また、釘や金物に頼らず木と木を組み合わせて固定する「木組み」は、解体しても木材が再利用でき、環境にも優しい知恵でした。
この木組み技術は今も社寺建築や数寄屋造りなどに息づいています。
現代は便利な機械や部材が増えましたが、木を読む目と墨付けの感覚は、変わらず大工にとっての財産です。