「和室」って、なんのためにあるの?
「和室」と聞くと、畳にちゃぶ台、障子からのやわらかな光。
懐かしさを感じる方も多いのではないでしょうか。
でも、そもそも和室とは、何のためにあるのでしょうか?
和室は“用途を限定しない”空間として、日本の暮らしに根づいてきました。
昼は食事や団らん、夜は寝室、来客があれば客間に——
暮らしの変化に合わせて姿を変える、柔軟な「器」のような存在です。
その快適さの理由は、自然素材。
畳や障子、杉・檜の無垢材など、いずれも“呼吸する素材”で、
湿気を吸って吐きながら、空気を調湿してくれます。
夏はさらりと涼しく、冬はほんのり暖かい。
四季のある日本にぴったりな空間といえます。
また、和室は文化の舞台でもありました。
茶道・書道・華道など、日本の精神文化を育んできた背景には、
この空間があったからこそと言えるかもしれません。
現代では少なくなった和室ですが、
その価値や美しさは、今も色あせることはありません。
私たち大工は、伝統と技術を受け継ぎながら、
“今の暮らしに合った和室”を考え、かたちにしていくことを楽しみにしています。
